月カン!雀賢荘 Vol.1


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┃賢┃┃月┃カ┃ン┃!┃雀┃賢┃荘┃Vol.01┃
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●○●○●「雀賢荘」よりお知らせ●○●○●○●○

次回より、配信予定日は毎月第2木曜とさせていただきます。
予めご了承ください。

【月カン!雀賢荘★INDEX】――――――――――――――――――――――
|(1)第1号発行 あいさつ
|(2)麻雀を知ってるつもり!? Vol.1
|(3)ハカセの麻雀プロ観戦記
|(4)編集後記
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(1)○● 祝!創刊第1号発行/ダイジェスト版
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-ごあいさつ-
 このたびは、「月カン!雀賢荘」をご購読いただき誠にありがとうございます。
ついにメールマガジンを発行する事が出来ました。
今後は、内容を更に充実させていきたいと考えております。
皆様、よろしくお付き合いの程お願いいたします。

                    月カン!雀賢荘 編集者 佐藤恭子

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(2)○●麻雀を知ってるつもり!? Vol.1
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★タイトル
できちゃった結婚・雀荘版

■風営法の厚い壁

 現在、自分で麻雀荘を開きたいと思ったら、警察の許可が必要になる。
麻雀大会に出たらラッキーにも優勝、全自動卓をゲットした。よし、それなら
雀荘を開いちゃおう!というわけにはいかないのだ。

 この許可を取るのがなかなか難物だという。物件が決まらないと申請できないが、
申請してもすぐに許可はおりない。そこで数カ月分の無駄な家賃を払うハメにな
ったりする。

 雀荘は遊技場の一種として、風俗営業法によって管理されている。そのため小
中学校が近くにあってはいけないとか、病院のそばは駄目だとか、いろんな規制
があるのだ。

しかし、風営法ができたのは昭和23年のこと。それ以前の麻雀荘は、麻雀を博打
と見るかゲームと見るか、当局の揺れ動く見解の狭間を漂ってきた。

■開いちゃった雀荘って?

 昭和5年、とある麻雀好きな男が東京三田の慶應大学前に麻雀クラブを開きた
いと警視庁に申請した。当時の麻雀荘は今で言うベンチャービジネス。
そんな商売の区分はないから、当局としても認可しようがない。

 しかし現場の警官は、そんな事情などわかってくれなかった。
「ん? 許可を取っておらんのか。それでは営業を認めるわけにはいかんぞ」
ってな感じだった。
 
 当時、ブームに乗って、数多くの麻雀クラブがオープンしていた。こういった
“できちゃった結婚”ならぬ“開いちゃった雀荘”は、現場の警官と中央当局の
板挟みになって苦しんでいた。警視庁サイドでも、前例のないことだから慎重に
ならざるをえない。
そこで警視庁の防犯課長は、有識者に相談することにした。

 白羽の矢が立ったのは、当時の麻雀界を代表する浜尾四郎子爵。浜尾子爵の意見
はこうだった。
「こんな面白い遊びが家庭に入り込んだら、燎原の火のように広がるに決まってい
る。そうなる前に玉突き屋と同じように許可した方がよい」

 玉突き屋とはビリヤード場のこと。雀荘とビリヤード場、そしてダンスホールは、
この当時、同じような立場だったらしい。家庭には持ち込まずに外でやれという
ことは、大人の男がやるならいいが、女子供にやらせるな、ということだろう。
戦前らしい発想だ。

■日中博打バトル・麻雀vs花札

 さて、麻雀クラブの開業許可が本決まりになったころ、今度は花札クラブの
営業許可が、浅草の業者から申請されてきた。その言い分はこういうもの
だった。

「中国の博打をやらせる麻雀屋を許可するなら、
日本の博打である花札のクラブも認めるべきである」

 現代のヤクザはイコール暴力団だが、当時は博打と任侠に生きる博徒(ばくと)
が当たり前のようにいる時代だった。その主張に対して、浜尾子爵はこう応えた。
「麻雀は博打でなくゲームである」と。
警視庁はその主張を認め、麻雀荘の営業は認めながら、花札クラブ開設は却下した
という。こうして“開いちゃった雀荘”はなんとか籍を入れることができたのだ。

 しかし時代が下って、日本が戦争体制に進むに従って、賭けごとに対する圧力は
強くなってゆく。満州事変が起きたのは昭和6年のこと。それ以降になると、営業
している雀荘には、嫌がらせのためか警察官が見回りに来るようになり、昭和15年
になると雀荘は壊滅していた。

 中国から伝来した当初から、麻雀は中国賭博として警察にマークされてきた。
戦前に限って言えば、ゲームとして認められたのは入籍時だけだった。

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(3)○●「近代麻雀」誌に数多くの連載を持つ、業界屈指のライターが徹底鑑定!!
  <ハカセの麻雀プロ観戦記!>
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著者紹介●『近代麻雀』誌に数多くの連載を持つ麻雀ライター。通称ハカセ。
麻雀をツキや流れでは見ないが、運命論者であるというコウモリ的な立場で
逃げている。
★
鑑定される人 
宇野公介プロ(最高位戦Aリーグ)
鑑定する人
福地誠(ハカセ)
★
今回の鑑定結果
キャラクター ★★★★
テクニック  ★★★
熱意     ★★
★コメント
「顔に頼ることなくがんばってくださいね」

■間合いの見えないネットワーク対局
 宇野プロは若手のホープです。最高位戦というプロの団体で、25歳にしてAリーグ
に所属し、今年は決勝戦まで進出しました(おしくも敗退)。
 宇野プロは麻雀教室の先生もしています。岸辺シロー激似の顔で、さびしそう
に笑うところがマダムに大人気と言われています。そのいっぽうで、エッチな雑
誌の「実在した脱衣雀荘に麻雀プロが突撃取材! パイはパイでもこっちのパイで
鼻血ブー!!」なんてページに登場することもあります。

また、お酒を飲むと机に乗って踊り出してしまう癖があるため、大事な席では
いくらすすめられてもお酒を口にしません。
 そんな歌って踊れるタレントならぬ、打って踊れて突撃までする麻雀プロ、
それが宇野公介プロの真実です。

 この日の相手は、Mr.珍氏(3級)、mettagiri氏(6段)、Mr. Mr氏(永世名人)
の3人でした。
ハンチャン2回の勝負。トップのみ2万点が加算され、それ以外の順位点はありま
せん。
 トップのみ優遇されるシステムですから、優勝しようと思ったら少なくとも
一回はトップを取らなければならないでしょう。優勝することが命題のプロから
すると、甘い条件とは言えません。
しかし、宇野プロは楽観しています。
「VIPサロンは3回目ですけど、これまで2回とも勝ってます。今日もまかせて
くださいよ〜♪」
 何か秘策でもあるのでしょうか、それとも何も考えていないだけなのでしょうか。
とりあえず自信満々の宇野プロですが、時間がたつにつれ、岸辺シロー激似の顔から
余裕がはがれ落ちてゆく、それがこの日の展開でした。

テラネット注:本コメントは宇野プロの記憶違いで、実際は第六回VIPサロンにて
「ぴくぴく」氏に負けております)

■1回戦

 1回戦、宇野プロはチーチャ(東1局の親)です。
チーチャは他の親番と感触が違っています。親はアガってもツモられても点数が
子より大きいため、勝負所となることが多いもの。その勝負所がいきなり来てしまう
のがチーチャです。
 とはいえ最初の一局からエンジン全開とはなりにくく、あっさり親がすぎてしまう
感覚があるのです。チーチャは大物手を狙ってぶちかまし、それがひとつのセオリー
となっています。宇野プロもその方針を取りました。

■牌図1


牌図1は宇野プロ、6巡目の手牌です。發のトイツがありますが、それをのぞけば
タンヤオ・ピンフ系。
しかも345の三色まで見えています。ちょうど下家(右側の人)から發が出たとこ
ろですが、この發を宇野プロはポンしませんでした。そして次巡、發を落としていき、
タンピン系の大物手を狙います。
 この手牌でこの状況なら、麻雀プロはたいがい同じように打つでしょう。しかし
結果として、この戦略は裏目に出ました。そして、このズレが宇野プロの1回戦を
決めることになったのです。
この局は南家のMr.珍氏が2000点をアガりました(牌図2)。宇野プロ、まずは空振
りです。

■牌図2


 東2局、これが宇野プロ、3巡目の手牌でした。
三五五@@BDFH45中中 ドラG
 この手を単純な2000点にせず、9巡目、宇野プロはこんなテンパイを入れます。
BBDDFGH ポン@@@ ポン中中中
 見事と言うべきか、強引と言うべきか。一般に上級者となるにしたがって、
意味のないアガリは目指さなくなるため、特に条件のない局にはアガる価値のある手
(=高い手)に育てるのです。
 しかしこのとき、場はそういったペースで進行していませんでした。この日の
対局者3人は、早アガリ安アガリといったスタイルで、その結果として1回戦は
おそるべき小場(安いアガリしか出ない場)で進行しました。オーラスまで、
一番大きな点数移動がノーテン罰符の3000点という展開になったのです。

 この間、宇野プロは2回アガりました。東4局のリーチ・イーペーコー、2600点。
そして南1局の發のみ、500点オールです。途中から小場に対応するアガリをしてい
たわけですね。
 オーラスを迎えたとき、宇野プロはトップのMr. Mr氏に2100点差の2番手につけて
いました。この2100点は、最初の2局だけ空振りしていた分と見ることはできないで
しょうか。
 観戦していたかぎりでは、アガれそうなときだけアガって、無理せず進めてきたと
いう印象を受けました。いや、というよりも、東3局あたりからバトルに入り込んで
いったという方が正確かもしれません。つまりスタートは楽してしまったように見え
たのです。

 世界の競輪王・中野浩一さんは、勝負の心得としてこんなことを言っています。
「麻雀では大事な対局になればなるほど、誰しも慎重になってしまう。
でもそれじゃ駄目なんだ。
競輪では一瞬のタメが勝機を逃す。麻雀でも競輪でも、突っ込む者が勝つんだよ」
 競輪は駆け引きのスポーツでありながら、最初から突っ込めというのです。
これはチーチャの話にぴったりじゃないですか。すなわちこういうことでしょう。
安全に様子見しながら、大物手ができそうになったらアガリに行こうといった姿勢
では、勝つことはできないよ、と。時代小説にあるような、相手から斬られる間合い
に入らないかぎり、こちらも相手を斬ることはできない、という話も同じことかも
しれません。
 短期戦で大事な対局になるほど、普段通り打っているつもりでも、実際には慎重に
なっているもの。そのぶんを補正するために、いつもよりもう一歩押す覚悟で打て、
といったところだと思います。

 さて、オーラスを迎えて、トップと2100点差の宇野プロ。2100点とは微妙な数字で
す。高い手はいらないけれど、2ハンくらい必要です。
 しかし、そんなことを考える間もなく、Mr. Mr氏がピンフ三色というこのハンチャン
最高の手をあっさりツモアガリしました。アガリ止めで終了。わずか24分9秒。
1回戦は淡々と進み、サラッと終わりました。
 宇野プロは2着。まずまずの結果に見えて、じつは次回がトップ条件となります。
「うーん、どうですかねえ」
 さすがに楽観的な宇野節も影をひそめてしまいました。

■2回戦

 5分の休憩をへて、2回戦が始まりました。
 東1局5巡目、南家のMr.珍氏はこの手牌から中をポンして、テンパイ一番乗りです。
四五六@ABEG556中中 ドラE
 そして10巡目、どうせアガりにくいドラ側のカンチャン待ちなら、
同じことだと思ったのでしょうか。
こからさらに5をポンして、ドラのタンキ待ちにしたのです。これを次巡、スパッと
ツモアガリ。

 中野浩一さん言うところの「一瞬のタメを作らず突っ込む」とは、こういう打ち方
のことかもしれません。このアガリによって、1回戦で3着だったMr.珍氏は勢いに
乗りました。東2局、親になったMr.珍氏は早くも4巡目にリーチをかけてきます。

■牌図3


 このとき、宇野プロも緊急事態を感じ取っていました。口では、
「このハンチャンも、やっぱりダメだあ〜(泣)」
と情けないことを言いながら、そのじつ、やはり勝負の世界に生きる男でした。
牌図2の手牌で、上家(左側の人)の切った二をノータイムでポンしたのです。
ここで引いていたらもう駄目だ。親のリーチに真っ向勝負ということでしょう。
 だが不思議なことに、焦った動きは好調者に利するもの。六と6のシャンポン待ち
という悪形リーチをかけていたMr.珍氏は、宇野プロが鳴いたあと、すぐツモアガリ
しました。

一一一六六ABC23466 ツモ六 ドラ2 裏ドラA

 リーチ・ツモ・ドラ2。親のマンガンで4000点オール。小場だった1回戦と違い、
今度はいきなり大物手が炸裂したのです。

 こうなると、もう小さいアガリは意味を失います。宇野プロはマンガンクラスを
狙って手作りしますが、アガリに結びつきません。
東2局1本場はMr. Mr氏(※正しくはmettagiri氏)が北のみのアガリ。東3局も
Mr. Mr氏(※正しくはmettagiri氏)がリーチ・ピンフ・ツモのアガリ。宇野プロは
東場の親がなくなりました。

■牌図4


 東4局、ここで宇野プロは面白いテクニックを披露します。ホンイツ東の五八
待ちでテンパイしているところから、9巡目に対面(正面)の切った六をポンした
のです(牌図3)。これは普通なら絶対してはいけない鳴き方です。しかし
名人に定石なし。ここでは緻密な読みが入っていました。

 もともとのテンパイ形である五八は、自分で2枚使い、場に2枚切られています。
つまり待ち牌があと4枚残っているテンパイです。それに対して六をポンした三六
待ちは、自分で3枚使い、場に一枚も切られていません。ということは残り5枚の
テンパイです。つまりポンすることによって、一枚だけ、いい待ちとなったのです。
待ち牌を4枚から5枚にできるのですから、25%増量のお徳用パックみたいなもの
でしょうか。
 さらに問題となるのは、他の人に使われている枚数です。中盤に八を切っている
二人は、バランス上、そのスジである五を使っていそうです。さらにもう一人が
使っている可能性まで考えると、ヤマに残っている五八は実質0枚〜2枚程度と
思われます。
それならテンパイを切り換えて、ション牌(場に出ていない牌)で待った方がいい
かもしれません。六が切られた瞬間に、宇野プロはこんなことを考えたのでしょう。
この読みは、当たっている部分もありますし、外れている部分もあります。しかし、
この大胆な発想が面白いと思うのです。
ただしこのポンの欠点としては、三を引いて二五八待ちになる可能性や、一をポン
して三六九待ちになる可能性を捨ててしまうことがあります。ですから総合的には、
かなりリスキーな打ち方となります。
このとき、チャット担当の高浜厚プロは、「この六ポンは真似しちゃダメよーん」
と書き込んでいました(宇野プロは麻雀に専念し、チャットは高浜プロが代打ち
するという二人羽織状態でした)。
 この局の結末は牌図4。宇野プロは4000点をアガりました。

■牌図5


 それから大きな動きのないまま南入し、六ポンの必殺テクニックがよかったので
しょうか、南2局1本場に勝負所がやってきました。これが宇野プロの配牌です。

六六六@AAAEHH67南 ドラ南

 これがAリーグプロの底力なのか――。配牌でアンコがふたつできており、四暗刻
の可能性をひしひしと感じるではありませんか。ドラは南で、1巡目にカンが入って
新ドラがH。ヤクマンならずとも、大物手となる気配が充満しています。
 じつは麻雀プロとは、うまい人ではなく、ツイている人であるという説があります。
このAリーグ配牌を見て、Cリーグの高浜プロは、なかばあきれ、なかばいじけていま
した。どうせオレにはCリーグの配牌しか来ねーよ、と。

■牌図6


 この手牌は順調に育ち、6巡目には牌図5となっていました。四暗刻の
イーシャンテンです。このとき、観戦している面々は、宇野プロが四暗刻をアガり
そうな予感をヒシヒシと感じています。その理由としては、場にソーズが安い
(多く切られている)ことがあるのです。ソーズをバラ切りしている対面は、
ソーズをまったく使っていないはず。上家も早々と98を切り出しているため、
7は持っていないでしょう。となると、4や7はまだ残っていそうじゃないですか。
こんなときこそ四暗刻に期待が持てるものなのです。

 このとき、目下トップで現在親のMr.珍氏と宇野プロの点差は約18000点。
宇野プロがハネマンをツモアガリすれば、ならぶくらいの差だったのです。
 そのままツモ切りが続き、実質的な決着がついたのは10巡目のことでした。
対面の切った一をMr.珍氏がチーしたこと、これがこの局、ひいてはこの
ハンチャンの結末まで決めたのです(牌図6参照)。

■牌図7


このチーにより、(リアルな麻雀と同様にツモ牌の順序は変わらないとするなら)
宇野プロに入るはずだった7が下家に流れました。ということは、チーがなければ
宇野プロは四暗刻をテンパイしていたのです。
そして12巡目、対面の切り出した南により、Mr.珍氏は發ドラ2の7700点をアガった
のです(牌図7参照)。
くどいようですが、このときMr.珍氏はタンキ待ちだったので、チーしていなければ、
この当たり牌も黙って見送るしかなかったところです。
勝つとはこういうことですよね。チャットで「おめ」と書きあいながらも、自分が
アガることによって他人のチャンスを摘み取っていかねばなりません。Aリーグの
運勢も、Mr.珍氏による隙のないチーの前に敗れ去ったのです。

■牌図8


 次局、南2局2本場、今度は宇野プロの大物手が炸裂します。

リーチ・ツモ・メンホン・ドラ2のハネマンです(牌図8参照)。

一二二三三四四五六六七發發 ツモ五 ドラ二

ツモアガリなので点差は一気に縮まりました。しかしMr.珍氏vs宇野プロの急所は、
やはり勝負手がぶつかった前局でした。すなわち、このアガリはほぼ形作りにすぎ
なかったと思うのです。このメンホンによって点差は12000まで縮まり、宇野プロは
親を迎えました。
けれども、そこでアガリに結びつくような力強い配牌やツモは得られなかったのです。
南3局、南4局とも、Mr.珍氏がアガり切ってトップ。Mr.珍氏はトータルでも
優勝を勝ち取りました。
2回戦は38分54秒。やや長くかかっています。

■牌図9


 トータル3位となり、口ほどにもなく敗北を喫した宇野プロ。
「でかい口をたたくのなら、しっかり勝てよ」
と思うのは当然ですが、ネットワーク対戦で勝つのは大変だなあとも思います。
リアルな麻雀では、始まって数巡すぎると、上級者はもう相手の技量をかなり
見抜いています。仕草や目配りを見ることで、麻雀をどれくらい打ち込んできた
のかわかるのです。しかしネットワークでは、こういった観察眼が役に立ちません。
たとえばAさんがリーチをかけている状態でBさんが危険牌を切ったとき、
Bさんのレベルやそのときの仕草といった情報がないと、その牌を切った理由も
わからないのです。
Bさんにも勝負手が入っているのか、その牌が通ると思った理由があるのか、
安全牌を持っていないのか、ただ何も考えていないのか……。
そういったことが判断できず、言うなればレーダーを外した状態で打たなければ
なりません。

 リアルな麻雀では、ゲームの領域と人間どうしの闘いという領域があるわけ
ですが、その一方がまったく封じられています。ネットワーク時代になると、
これまでの技術的な差は縮まっていくことでしょう。
 今回、宇野プロの敗因は間合いを詰めなかったこと、そう書きました。しかし
レーダーを外された状態で、どうやって間合いを詰めればいいのでしょうか。
ただ全ツッパするだけなら、そこに技術などありません。気合も大切ですが、
技術を活用することだって必要です。

 けれども、そういった難問に答えを出して強さを発揮できなければ、プロという
立場は存立基盤を失ってしまいます。

「麻雀プロから麻雀を取ったら何が残るの?」
「対局に呼ばれたのにプロらしくなかったら、サギじゃないの?」
 
 そんなことを宇野プロには言いませんでしたが、麻雀の技術や能書きで喰って
いるなら、勝ったという結果であるとか、一般人にはマネできない技とか、
「何か」を見せてもらいたいと思います(そういった意味では、2回戦東4局の
六ポンは新鮮でした)。
残念ながらぼくはマダムじゃないんで、さびしそうな笑顔では陥落しませんから。

 
_____________________________________
(4)○●編集後記
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
皆様、はじめまして。
何とかこの度、記念すべき第1号を発行する事ができました。
いろんな人の手をお借りしてここまできました。感謝です。
右往左往、七転八倒、四苦八苦・・は今後も続くかと思いますが、とにかく毎号楽
しみにして頂けるよう思考を駆使していきますのでよろしくお願いいたします。

                      編集者 佐藤恭子  
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発行  株式会社 テラネットプロダクト
    毎月第2木曜発行

協力  福地 誠
編集  佐藤恭子(Terranet Product)
お問い合わせ jankenso_mm@terra.ne.jp 
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