月カン!雀賢荘 Vol.76


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┗━┛              月カン!雀賢荘−2006.1.25−
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┃賢┃┃月┃カ┃ン┃!┃雀┃賢┃荘┃Vol.76┃
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┃荘┃ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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【月カン!雀賢荘★INDEX】―――――――――――――――

(1)中年雀士勝負録
(2)麻雀哲学論考
(3)雀賢荘に熱中症!
(4)IT'sリアル麻雀屋巡り

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■ごあいさつ

 1月ももう後半。これを12回繰り返すと今年も終わり。うう、そう考えると
恐ろしくなりますね。まあそれはそれとして、1月後半号をお届けします♪

━◇>凡 例<◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  麻雀牌の表記は以下の通りとしております

・マンズ---- 一〜九    ・ピンズ---- (1)〜(9)
・ソーズ---- 1〜9    ・字牌 ---- 東南西北白発中


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━━━(1)<中年雀士勝負録>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最近少々レートが上がっているハカセの勝負録! 今回はいくらだ!?
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■■雀荘に堕ちてきた人2■■

 家からそう遠くない繁華街のフリー雀荘にぶらっと入った。ピンの東風戦。
初めて入る店。うらぶれた雰囲気。少ない客数。もう長くないんじゃないかと
思わせる。まあ、どこの雀荘に入ったって同じようなもんだけどね。

 年配のメンバーが飲み物を持ってきてルール説明してくれる。麻雀が始まっ
てからわかってきたのだが、この年配メンバーは新人らしく、みんなから露骨
にいじめられていた。一番年長の者が馬鹿にされている。しかも、店長が率先
していびっているんだから逃げ場がない。

 その年配メンバーは、ちょっと人が良さそうで、ちょっとトロイ感じ。たし
かにいじめられるタイプだった。彼は麻雀もイマイチだったが、おそらくフリ
ー雀荘の経験がないのだろう。無理もない。社内麻雀で勝ち組だったくらいで
はこんなもんだ。彼はアガっても振り込んでも、かならずといっていいほど嫌
味を言われていた。

 何時間か過ぎたとき、店長が衝撃的な嫌味を言った。

「お前な、そんなだから女房や娘に逃げられるんだぞ」

 別のメンバーが続けていう。

「ホントは女房も子どももいなくなって、気楽になってよかったと思ってるん
じゃないのか?」

 これにはさすがの彼も傷ついたようで、少しモゴモゴと口ごもりながら、そ
れでも返事した。

「いや、そんなことないですよ。あたしゃ悲しいですよ」

 どういうことなんだろう。彼は仕事を首になり、仕事が見つからないまま、
やったこともない雀荘のメンバーになったけど、そんな彼に愛想をつかして妻
や子どもは出ていってしまったのだろうか。

 いきなり現れた美味しいドラマに、みんなの尻馬に乗る気はなかったぼくも
魅入られてしまった。だが、この場ではこれ以上は聞けそうもない。もっと親
身になっている振りをできる状況じゃないと。

「また来てください。お待ちしてますから」

 朝になって麻雀をやめたとき、彼は言った。店内でいじめられてる者は店外
に救いを求めるんだよな。

 彼の家族ドラマにはすごくそそられたけど、その店にはさして興味がなかっ
た。そうこうしているうちに何ヵ月か経ってしまい、彼のドラマを聞くチャン
スは失われてしまった。その仕事が何ヵ月も続いているはずないからね。雀荘
に堕ちてきた人は、そこにとどまらず、また別の業種に流れて行く。堕ちてき
た人が生暖かく過ごせるような場所じゃない。

 女房と娘は帰ってきたんだろうか。くるわけないよな。ぼくの女房や娘が出
て行く日もいつか訪れるのか?

(福地誠 小銭ライター)

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上野の×××というフリー雀荘での出来事です。前は流行っていたよーですけ
ど、最近はめっきり名前を聞きませんねえ( ̄w ̄)プッ


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━━━(2)<麻雀哲学論考>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

何事も不合理や整合性が気になってしまうSEが、麻雀を多面的に語る!
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■■親決めの偏り■■

 皆さん毎度こんばんは。ヒロタシです。

 麻雀に必要な道具といえば、卓の他には牌と点棒、そしてサイコロが二つで
すよね。山の開門位置や起家を決めるのに使うわけですが、実はサイコロでは
起家を公平には決めることができないという事実はご存知でしょうか。

 サイコロ二つを振って出る目を足した数だけ自分から左回りに数えるとき、
2、6、10で下家、3、7、11で対面、4、8、12で上家、そして残る5、9
で自分が「指される」ことになるわけですが、それぞれが「指される」確率に
は偏りがあります。実際、全36通りの出目のうち、下家と上家は9通りずつ、
対面は10通り、そして自分が指されるのは8通りしかありません。一度振りで
起家を決定する場合は、サイコロを振った者が最も起家になりにくいというこ
とになります。

 ちなみに二度振りの場合は、下家と上家は324通りずつ、対面は322通り、自
分は326通りと、今度は自分が最も起家になりやすいという結果になります。
でも、どちらにせよ公平でないことに変わりはありません。それではどうした
らいいのでしょう。

 これを解決するいい方法があります。それは「サイコロのうち片方の5の目
を、修正液かなにかで白く塗りつぶして4にする」というものです。これでこ
のサイコロは「123446」の目を持つことになります。たったこれだけで
4者が「指される」割合は全て同じ9通りずつとなるのです。

 確かめてみましょう。この方法によってできた新しい4の目はもう一方のサ
イコロと合わせて5から10までの数を作り出します。ところがこれは元々5の
目だったわけですから、かつては6から11までの数を作っていたはずです。

 すなわち、

「6 7 8 9 10 11」→「5 6 7 8 9 10」

 と変化したわけです。つまり「11の代わりに5が出るようになった」と言え
るわけですよね。

 11は対面を、5は自分を指す数ですから、つまり対面を指す目がひとつ減り、
代わりに自分を指す目がひとつ増えたということになります。これでちょうど
9通りずつです。

 せっかく公平に6分の1ずつの確率でそれぞれの目が出るよう作られたサイ
コロを使うのですから、4分の1ずつの確率も公平に出してみてはいかがでし
ょうか。

ヒロタシ(似非トーラス http://oak.zero.ad.jp/~zaf93998/)

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な、なんと、初めて聞く公平な親決めの方法! いや、すごいですわ! しか
し、だからどうなんだって気もしないではないですが〜( ̄w ̄)プッ


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━━━(3)<雀賢荘に熱中症!>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日本プロ麻雀協会プロによる雀賢荘の対戦レポート!
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■■チンイツの使い方■■

 みなさんこんにちは〜。毎度おなじみ「雀賢荘に熱中症」でございます。

 今年の冬は、寒い毎日が続きますよね〜。私も21日に東京で積もった大雪に
は参りました。しかもこの日は雀竜位戦のB級リーグ。ドジな私なもんで、対
局会場までの凍結した道路に何度滑ってこけそうになったか分かりませんでし
た。「対局前にこける」って、縁起が悪いことこの上ありません(苦笑)。

 結果ですか? モノの見事に「大コケ」しちゃいました。しかも、最下位で
の惨敗! これじゃ、縁起が悪いじゃ片付けられないですな〜。これで私のプ
ロ対局はしばらくの間オフモードに入ることになりましたが、この結果を厳粛
に受け止めて、再度立ち直りたいと思います。

 というわけで「後悔先に立たず」という言葉を念頭に置きつつ、雀賢荘対局
記をお伝えします。

 今回の対局メンツは、ドイチャコさん、ありんこさん、KOUTOKUさんです。
前回に引き続いて、雀竜位戦B級リーグ前日の調整に付き合っていただきまし
た。去年の年末からめっきり雀賢荘でのトップがご無沙汰になっていた私。な
んとかしたいという気持ちがこの日も空回りしていました。当然、この半荘も
空回り。オーラス親番2巡目をこんな手牌で迎えていました。

南4局 東家 2巡目 25600点(2着目) ドラ北

一一五六六八九九(3)(5)(5)(9)中 ツモ⇒三

 なおトップ条件は、出アガリ9600以上、ツモ2600オール以上です。上記の形
は、無メンツながらもチートイツやトイトイ、チンイツ(遠いけど九連宝塔も
あるかな)が見える形。棒テンを拒否する意味でひとまず打(3)としました。

 その直後、九がトップ目の下家から出てきました。おそらくは役牌かタンヤ
オでさっさとアガろうという算段でしょう。

 みなさんならどうしますか? 選択肢は3つあるかと思います。

1)九ポンをしてチンイツ決め打ち。どうせいらないピンズなら後々に危険度
が高くなりそうな(5)のトイツ落しを先に行う。

2)九ポンをしてチンイツも見るが、トイトイもみる。ひとまず孤立牌の(9)
を打ち、(5)が出たらポン。

3)トイトイ、チートイツにウェイトを置くが、トイトイのみは寒いのでスル
ー。

 人それぞれセンスがあるので、どれも間違いではありません。ただ、私が一
番やらないのは2)かな。役牌がないこの手をトイトイにするくらいなら、チ
ートイツをやった方がベターだと思うからです。後々にドラの北をひいてきた
ら9600になるしね。

 ということで、1)と3)の比較ですが、チートイツのやっかいな所は「メ
ンゼン縛りになる点」。それに対し、チンイツのやっかいな所は「ばれやすい
点」。どちらにしてもリスクは背負わねばならないのですが、オーラスという
特殊状況を加味して考えると、正解を導けちゃいます。基本的なのは座席の位
置でしょう。上家がラス目なら、危険だと分かっていても鳴きたい牌を切って
もらえそうですし、下家がテンパイ料で変わらないトップ目なら「ノーテン持
込作戦」でガチガチに絞られてしまう可能性が高くなりますね。

 ちなみにこの半荘なら、上家はラスと僅差の3着目。ある程度のマンズは切
ってくれそうだということを踏まえると、1)の選択が勝ると言えましょう。
ということで、九ポンの打(5)。それにチンイツなら、二の矢はいりませんよ
ね〜。

 ということでこの手は13巡目でポンテンを果たしました。ちなみに手はこん
な形。

三三五六六七八 ポン一一一 ポン九九九

 そして、上家(3着目)のリーチ宣言牌で「ロン」できて久々のトップゲット
となりました〜〜。

 チンイツは派手で綺麗だけど、他の色が無防備になってしまう怖い役。今回
は上の通りの理由で仕掛けてみましたが、やるべき局面を間違えちゃうと悲劇
を呼びます。皆さんは、染め手をする時は「チンイツより、役牌確定のホンイ
ツが基本」ということを念頭に対局してくださいね。

 ではでは今日はここまで。まだまだ真冬ですが、大雪を溶かせるほどの熱い
対局で盛り上がっていきましょうね。また〜。

(高島努 プロ協会C3リーグ)

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ぼくは露骨なチンイツ、ホンイツってよくやります。バレバレでも不利だとは
思いません。ここらへんはオヤジ濃度の問題もありそうです( ̄w ̄)プッ


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━━━(4)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

バブル絶頂期の89年、雀馬鹿への道をひた走った男のナルシーエッセイ。
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■■第29話 血染めの赤牌■■

 長く重い場が続く。この流局続きに息苦しさを感じた俺。冷たい卓上、ひん
やりとした麻雀牌、俺の闘志に反応しない。俺のアガリへの欲求とは裏腹に淡
々と過ぎ去っていく局。アガリが欲しい。とにかくアガリたい…。

 そんな思いの中、サイコロを振った東4局三本場供託リーチ棒3本ドラ西。
気合を込めて押したサイコロのボタンに闘志を込めすぎたのか、力を入れすぎ
たのか、人差し指のツメの先から血が滲み出てきた。その状況に気付かない俺
は一心不乱に配牌を取っていた。今度こそ、今度こそ…、早い、高い、軽い、
三拍子揃った配牌を…。

 すると、下家のオヤジが「兄ちゃん、パイに血が付いてるよ。頼むよ…ホン
ト! おーいメンバー! オシボリとバンソーコー、この兄ちゃんに持ってき
て」と言った。続けて親父が「そうそう、メンバー! 兄ちゃんのパイ、拭い
てあげてよ。これじゃ出来ないよ! じゃあ代走! トイレ行ってくるわ」と
席を立った。自身のケガに気付いた俺は、メンバーに「すいません、ありがと
うございます」と言い、バンソーコーを貼った。

 血の滲む思いとはこのことか。だが、そんな俺の願いが通じ、三拍子揃った
ゴージャスな配牌を頂いた。「東」「西」がトイツでマンズが三四五六万の続
きメンツ、ピンズ334、ソーズ556である。こんな配牌に、第一打捨牌か
ら長考だ。

三四五六(3)(3)(4)556東東西西 ドラ西

 ダブ東が簡単に仕掛けられたら何の問題もないという、なんとも素晴らしい
配牌だ。だが、ドラが「西」だけにチートイツ狙いが増え、トイツ場になりや
すいかもしれない。ダブ東は簡単には仕掛けられないだろう。仕掛けることを
前提に手を進めることは出来ない。

 長考の末、俺は打六。下家が手牌をカチャカチャ何度も並べ替えている。俺
が長考したから長考返しか、なんて思っていた。するとオヤジはいきなり「リ
ーチ! 懸賞金があるからな」と三万を切ってダブリーをかけた。俺は思わず
「マジっすか」と、のけぞった。その三万を西家がチー。北家が「發」を切る
と西家がポン。続けて北家が「白」。またも西家がポン。今までの流局はなん
だったのかという早い展開となった。まだ1巡だというのに南家はダブリー、
西家は「白」「發」ポンで二三四チーの3フーロ。ダブリーのオヤジは少々ビ
ビッていた。修羅場だ。

 俺のツモは、なんと「東」。イーシャンテンだ。このツモにスイッチはONさ
れた。もう俺はイケイケだ。前に行くしかない。選んだのは打3ピン。南家が
「トーシバ!」と、どうやら通ったようだ。そして3巡目、俺のツモは2ピン
でテンパイだ。本来なら高速テンパイだが、俺より早い奴が二人も居る。俺は
強気にドラとのシャボ待ちを選択し、大きな声で「追っかけ入ります! リー
チ」と、千点棒を投げた。

三四五(2)(3)(4)55東東東西西 ドラ西

 そして次巡、俺は「ツモ〜!」と雄叫び、牌を卓の枠に叩きつけた。力が入
りすぎたようで血しぶきが飛んだ。ツモ牌は隣りの卓まで飛んでいった。俺は
「落牌!」と言ってメンバーに牌を拾ってもらった。

「血が付いてますよ。大丈夫ですか?」とメンバーが牌をぬぐう。拾われた牌
は血をぬぐってもまだ赤かった。赤5ソーだ。俺は興奮していた。返事もおも
むろに血をオシボリでぬぐいながら裏ドラを見る。「乗ったー! 1枚」と、
俺は指を折り始める。「リーチ・一発・ツモ・ダブ東・ドラドラ・裏ドラ、赤
5ソー」と、確認のため長い呪文をもう一度唱え「8000オールの3枚オール」
と叫んだ。オヤジたちは「分かった分かった、もういいよ」と言う。どうやら
俺の血の滲む努力は報われたようだ。

(斉藤勝久:プロ協会Bリーグ)

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麻雀にも血染めの勝負はあったのでした。そして勝負が終わったあとは、別の
ものを出すんでしょーね( ̄w ̄)プッ


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●○●○●「雀賢荘」からのお知らせ●○●○●○●○

【第18回ミニ大会を大会特設サロンにて、開催いたします。】

 開催日程:2月10日(金)13:00 〜 2月13日(月)10:00

 皆様、ふるってご参加ください。


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発行   有限会社 アイ・エス・ジャパン
     毎月10日・25日発行
編集長  福地 誠
記事協力 日本プロ麻雀協会
編集   有限会社 アイ・エス・ジャパン
お問い合わせ jankenso@is-jpn.com 
雀賢荘HP  http://jankenso.is-jpn.com/
 
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