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業界のジーコ監督を目指すハカセによる鑑定レポート

ハカセによる麻雀プロ診断
鑑定される人 崎見百合プロ
(日本プロ麻雀協会)
鑑定する人 福地誠(ハカセ)
今回の鑑定結果
  • キャラクター ★★★
  • テクニック  ★★
  • 気合い    ★★★
コメント

 「これから雀賢荘でバトルしましょ♪」

■再挑戦する美人プロ

文/福地誠:
●著者紹介●『近代麻雀』誌に数少ない連載を持つ麻雀ライター。東大卒の通称ハカセ。著書に「麻雀検定2002」(竹書房)など。最近、麻雀博物館のパンフレットを編集した。雀賢荘には、ふくちーくの名前で出没する。


■365日打ち続ける麻雀ドランカー
 昨年11月にもプロ対戦に登場し、そこで痛烈な敗北を喫した崎見百合プロ。そのときには、あまりの惨敗に「あれでもプロですかね?」と掲示板に書かれてしまい、プロ論争にまで発展しました。  

 この結果には崎見プロもダメージを受けたようで、そのあとに会ったときには、「あれからTAISENでネット麻雀を練習してるんですよ〜」といっていました。TAISENとは、毎日コミュニケーションズが運営する有料麻雀サイトです。「江戸の敵(かたき)を長崎で」と、ことわざもいうように、雀賢荘の敵をTAISENでコツコツと討ってきたのでしょう。プロのなかではレーティング1位になっています(2002/10/16現在)。そして満を持して、プロ対戦に再登場してきたのでした。。

 この間、崎見プロの臥薪嘗胆ぶりには凄まじいものがあったようです。あれから約1年、麻雀を打たなかった日は1日たりともなかったというのです。いや、じつはプロ対戦で負けたから麻雀の修行をしていたわけではなく、これが崎見プロにとっては当たり前の生活のようでした。

 正直なところ、この麻雀漬け生活には驚きました。こんなに麻雀ばかり打っていたら、パンチドランカーならぬ麻雀ドランカーになってしまわないのでしょうか。ここで彼女の一週間をご紹介しましょう。

■■ゆりりんの一週間■■

■月曜日
・月に1〜2回は麻雀棋士奨励会で対局(4時間)。
・第1月曜日は漢塾で対局(3時間)。
※麻雀棋士奨励会とは、若手プロ育成のために設立された年間リーグ戦。
この前終了して、崎見プロは第1期優勝者となった。
http://www19.u-page.so-net.ne.jp/bd6/kyokai/jano-open/syoreikai.htm
※漢塾(おとこじゅく)とは、若手プロを鍛え直すためにベテランプロが作った研究対局で、雀賢荘にある同名団体とは別物。崎見プロは漢塾Aリーガーだとか。

■火曜日
・第4火曜日は漢塾で対局(3時間)。
・あいている週は国際麻将の研究対局に参加。
※崎見プロは国際麻将の国内予選で勝ち残り、10月24〜26日開催の世界選手権に出場した(結果61位)。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/geinou/aug/o20020817_150.htm

■水曜日
・月に2回、プロ協会Bリーグの対局(4時間)。
・月に2回、プロ協会Aリーグの牌譜取り(4時間)。
※崎見プロは今期、Bリーグを2位で終了し、Aリーグに昇級。
http://www19.u-page.so-net.ne.jp/bd6/kyokai/league.htm

■木曜日
・第1、第4木曜日は、フリー雀荘「風の子」でゲスト対局(6時間)。
・第2木曜日は、TAISENでネット対局(3時間)。
・第3木曜日は、麻雀フォーラム21で研究対局(4時間)。
※「風の子」とは東京町田にある点5フリー雀荘。
※麻雀フォーラム21とは、振り込みは恥であるという信念のもと、振り込みに1ハンつける特殊ルールの研究対局。

■金曜日
・第1、第4金曜日はフリー雀荘「まあじゃん海」でゲスト対局(6時間)。
・月に1回、フリー雀荘「さん」でゲスト対局(7〜8時間)。
※「まあじゃん海」とは東京三軒茶屋にある点5フリー雀荘。
※「さん」とは全国に16店舗を持つ点5フリー雀荘チェーン店。

■土曜日
・月に2回、プロ協会の研修で講師を務める(3時間)。
・何らかの大会に、選手として、あるいは運営サイドとして参加する週も多い。
※研修では、先輩プロが対局し、新人プロが牌譜を取り、その局を再現して一打ずつ検討する。

■日曜日
・何らかのタイトル戦や中国麻将の対局に、選手として、あるいは運営サイドとして参加する週が多い。
http://www.mondo21.net/line-up/m-dx/queen-cup.html

 いかがでしょう。一週間びっしりと麻雀の予定で埋まっています。そのなかにはゲストや大会運営などギャラをもらえるものもありますし、ノーギャラの対局もあるわけです。その両方が渾然一体となって、彼女の麻雀プロとしての生活が作られています。まさに麻雀漬けの365日といえるでしょう。

 しかも、これだけ麻雀を打ちながらも、3時間程度の対局ではもの足りないといって、対局後は毎日のように友だちと麻雀を打つというのです。いやはや、これくらい麻雀好きじゃないと麻雀プロはやってられないものなのでしょうか。

 フリー雀荘の従業員も麻雀漬けの毎日ですが、いつも同じルール・同じ場所で打つのと、違った場所で様々なルールによって打つのでは、精神的な負担が違います。この生活は「プロ」以外の何者でもないですね。

 どの業界でも、プロやプロの卵はトレーニングばかりしているもので、将棋指しは将棋ばかり指していますし、プロゴルファーはゴルフばかりやっています。ぼくの知り合いの小説家は、誕生日に、今日一日は字を書かないのが自分へのプレゼントだといっていました。←見習わねば(^_^;

 そう考えてみると麻雀漬けの365日も当たり前のことなのでしょう。それが麻雀だと圧倒されてしまうのは、麻雀プロは食えないことをぼくが前提として考えているからかもしれません。実際のところ、崎見プロもアップアップで生活しているとのことでした。

 役満女王やドラ女王、配牌女王という馬鹿っぽい異名(失礼!)を持ちながら、その名に恥じない麻雀一筋生活を送っている崎見プロ。そんな生活の甲斐あって、今期ついにプロ協会のAリーグに昇級し、また麻雀棋士奨励会でも優勝し、そして予選を勝ち抜き麻雀の世界選手権に出場した(結果100人中61位)。

 今年の前半までは、どうせ自分は優勝などできない星の下に生まれてきたんだといじけていたそうですが、後半になって次々といい結果が出たわけです。今年はこれまでの努力が実り始めた年といえそうです。そんな彼女が雪辱に燃え、と同時にまた負けちゃったらどうしよう……とプレッシャーを感じつつ参加したのが今回のプロ対戦でした。



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